2012年1月14日土曜日

現象とデザイン


「現象」には、過去現在未来に属するものがある。それらは単に時間性のちがい以上の差があるような気がする。
過去の現象にかんする記述、それがもっともふつうに語られる「現象」。過去の現象は、もう動かすことができない。それはそれとして受け止めるしかない。「(意図や目的はともかく)現象的に(=結果としては)こういうことが起こった。」読み解かれるものとしての現象という側面である。
現在の現象は、いま、ここ、で対処する対象としての現れである。その現れがよいものであれ、悪いものであれ、我々はそれをどう扱うのかを決めなければならない。現在のそれは、可能性の範囲内で動かすことができる。それはまさに動かすべき対象、変化させるべき対象として目の前にある。
未来の現象。それは造られる対象としての現れである。これはまさしくデザインの問題。その現象がどのように人との関係を切り結ぶべきかを問う。デザインは「現象」そのものを造り出すというより、それが起きるようにいろいろなものを配置する。デザインは希求や願望をすくい上げる装置だ。
(120114)

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