2011年12月12日月曜日

道具を作る


「デザインは、意図をもって、道具を、作ることを考えること。」

道具:
人の役に立つ何か。用(はたらき)をもつもの。それによってできなかったことができたり、少しでもよくできたりするもの。人のもともと持っていた、手や脚や眼や脳のはたらきを拡張してくれるものやこと。
それは形のある、カナヅチやノコギリ、食器や家具、それに洋服や乗り物やコンピュータのようなものでもあるし、形のない、国や政治やいろいろな制度、それに言葉のようなものもある。道具は「人が造り出すもの」にほぼ等しい。

作ることを(考えること):
道具には作るという局面と、使うという局面があるのだが、デザインは主に作ることにかかわっている。
作るということをさらに細かく見ると、何をどう作ろうかと想像し、計画し、設計する段階と、実際に材料を集めて加工し組み上げる段階とがある。これらのうちの前半の段階をデザインといっている。犬小屋を作るにせよ、ビルを建てるにせよ、法律を作るにせよ、このステップは変わらない。ものをつくる会社における設計部門と製造部門が独立しているように、それぞれは独立したアクティビティ。デザインは立法に近く、行政や司法とは独立している。作ることを「考える」といったのは、そういう意味である。
また、「使う」という局面は作ることとは対称的なものであるが、「使い方」をデザインするという視点はありうる。使い方において開かれている道具(たとえばコンピュータ)において、「使い方」を考えることは、道具の新たな「はたらき」を発見し、発掘することである。これはいいかえれば、「道具Aの『使い方』」という(メタレベルの)道具Bと考えられる。そういうことから、「使い方」はデザインの対象と考えることができる。

意図をもって:
人は無意識にいろいろなものを作り出している。もっと初期的な道具である「ことば」については、意図に基づいて考え出したというより、自然発生的に生まれたものである。人が生活する中で作られたいろいろな暗黙のルールは意図して意識的に産んだものではなく、生まれたものである。これらは強固で有用な「道具」であるが、それができる過程をデザインとは呼ばない。(私はそういう立場をとりたい。)
(111130)

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