デザインの醍醐味はその一回性にあるといってよいと思う。そういう意味でいわゆる工学とは相容れない部分がある。(正しくは、デザインを包含しないと工学は完成しないと思うのだが、現在の工学の基本的な考え方はまさしく一回性を廃して、再現できるものだけを相手にしている、そうである。)
オブジェクト指向による設計の中心はクラスをどう規定するかが焦点である。しかしデザインの立場では、実際の仕事をしているインスタンスに関する考察抜きでは語れない。大切なのは、個人のAさんでありBさんなのであって、AさんやBさんを抽象化した「人間クラス」(やその属性のパターン)なのではない。それは設計上の方便といってもよいと思う。
どのような設計の元にそれが作られたかどうかはどうでもよい話で、それが使い手の中でどう使われ、どう手になじむかどう汚れてどう壊れていくか、捨てられていくかまで含めないとデザインは考えられない。
絶対スケール。また数学的にはスケールは相対的なものであって、あまりそれ自体に意味はない。しかし現実の世界ではスケール(絶対スケール)は大きな意味を持つ。数学的には1000kmと1km、1mと1mmは、相対的に1000分の1の大きさ関係でしかないが、実世界ではその絶対的なスケールが意味をもつ。宇宙と原子核が相似形をしていようと、絶対的なスケールが、ときにはそのスケールだけが意味を持つ。
デザインの一回性、一期一会、個別性、絶対スケール、具象と抽象、クラスとインスタンス、一般化と具現化。
これらはすべてデザインの質について自分が持っているある共通した概念を語ろうとしていることのなのだが・・・、うまくまとめることができない、今は。
(080411)
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