2006年10月3日火曜日

デザインの定義

デザインは問題の解決を目指すものである。
問題解決にあたって、しっかりと手法化されていたり、有効性が確認されたツールがあるならば、それを用いるのはもちろんよいことである。
しかし、既存の方法では解決できない局面や状況というものがある。あるいは現状の解決方法より少しでも適切な解が望まれるときは、どうすればいいのだろうか。
多くの場合、その問題用ではない手法で援用できそうな方式をためしたり、経験の中から使えそうな似た知識や解決パターンを探す。また実験をして可能性のある解を作り出すしかない。
デザインとは、そのような非定型の問題解決にむけた奮闘(struggle)や実験的なチャレンジであると考えられないだろうか。そういった解決方法の定まっていない問題の解決に対するユニバーサルな方法論こそが、デザインの本質なのではないかと思う。少なくとも、そういう要素がもともとデザインに根源的に織り込まれているように思えてならない。
デザインという仕事は、問題に対する解を得ることであるが、たった一つの視点による問いに答えるだけではすまない。多様な、時には相矛盾するような評価軸をもった問題に最適な解を提示することが求められる。
したがって、視点つまり問いとともに答えを提示することになる。「デザイナーである私は、このように問題を捉えたので、答え(A案)はこれです」と。プランBもプランCもある。
ある問題において、解決の手法やプロセスを作り出すことはデザインの仕事といえると思う。しかし、それらの手法やプロセスを用いて問題を解決する行為自体はもはやデザインとはいえない。ここでの答えとは、問いの提示における回答例であるに過ぎないともいえる。つまり答えはおまけ、添え物という位置づけになる。
デザインとはまた、人工物(誰かによって造られたもの)に属するある種の性質=属性と見ることもできるのではないか。つまり「デザイン性」という多寡の測れる性質があって、デザインという行為はその性質を高めるために行うものである、というとらえ方。
もちろん実際には、原初的にデザインというやむにやまれぬ行為があって、その結果「デザイン性」という概念が生まれたのであろうが。
(061003)

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