2007年3月9日金曜日

デザイナーと大工

家を建てるには大工が必要である。その意味はつまり、現場合わせや材料任せで作る部分がないと家はできない、ということ。すべてを設計時に決めることはできない。これをブリコラージュといってもよいのだろうか。
一方、大工だけでは家はできない。犬小屋ならともかく、人の住む家は設計者が設計図を書かなくては作れない。普通。
コンピュータのインターフェースを作る場合、デザイナー(あるいは他の誰でも)は、設計と大工の両方に関わらなければならない。発想を得るためのアイデアスケッチや全体の見取り図も書かなければならないし、カンナで材料を削ったりペンキで壁に色を塗ったりしなければならない。

学者(ユーザビリティの専門家、研究者)は、筆の使い方を知らない。使えなくても仕方ないのだけれど、むしろ問題は、ここで述べているような事情を理解していないために、それをないがしろにするか、無視する傾向にあるということ。そして彼らの目には、デザイナー=大工としか見えていないのではないか。どんなによい設計であっても、大工がヘボなら出来は悪いさ。

一方中途半端なデザイナーは、大工レベルのスキルに満足する、あるいはやはり自分でデザイナー=大工と考える。その上のレベルの仕事というのが存在することを想像することすらできない。

これらの人の片方ないし両方が、ほとんどのものを産みだしているのが現実なのだが、私たちはいったいこの事態に対してどのように対処すべきなのだろう。
(070309)

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