2004年3月10日水曜日

オブジェクト指向

オブジェクト指向とは、人間が行っている事物に関する認識の仕方(=概念化)を、一つのモデルとして形式化した認識モデルである。
実際には、人間にかぎらず多少とも高等な動物が行っているであろうプリミティブな認識のパターンである。

動物が自然界で生き抜いていくためには、環境や状況の変化に対して適切に対応していかなければならない。逆にそういった変化に積極的に適応していく、ということが、動物の定義かもしれないが。

例えば人が犬を見るときに、実際に見ているのはポチやクロやチビといった個別の個体としての犬である。自然界に適応していくときに、一つ一つの個体を認識して、あの犬はこのように見えてこのように振る舞う、また別の犬は別の見えや振る舞いを持つ、とバラバラに識別していては実際に出会う犬の数だけ概念を用意しなければならない。これでは非効率なばかりでなく発展性がない。
そこで人間(動物)がとった戦略は、抽象化という戦略である。つまりポチやクロを直接扱う代わりに、「犬」という一つ上のレベルの型を想定する。犬という型は、うれしいと尻尾を振るものであって...とポチやクロをくくる枠組みを考える。同じように、タマやミケをくくる「猫」という型もあるだろう。犬と猫は型が違う。しかしこの抽象化は、さらに上のレベルの抽象化へと自然と進む。魚も一つの型を構成するけれど、犬や猫と並列に存在すると言うより、犬や猫の一つ上の型、結論から言えばほ乳類という抽象的な型で、いったんくくっておいてから、魚型を置いた方がうまく説明がつく。
これは、たぶん人間だけでなく、チンパンジーや犬自身も行っているであろう。例えばオオカミにとって、自分より小さい小動物は一個一個の個体として見ているのではなく、おそらく「食物」というくくりで捉えているだろう。

(040310)

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